2014公開映画私的ベスト10
年の暮れということもあって、一つ二つくらい2014年を振り返る行為をしようと思う。
たまには総まとめみたいなことやらないと、自分が何をやってきたか、何を見てきたかを
忘れてしまいそうになるので。
本当は、こんなことやらなくてもふとした瞬間に思い出すようなことができるのが
思い出を刻むってことなんだろうけど、そこのところはやはり、人間は忘れる生き物なのだ。
今年はなんだかんだあって、これまでの人生の中で最も多く映画と小説にまみれた一年だった。そしてそれは幸せな時期だった。
人生の中でこんな時期があったと後から振り返るにはいい年だったように思う。
前置きはこれくらいにしておいて、2014年公開映画の私的ベストテン、書いていこう。
(作品名/監督/短評)を軸にして、ネタバレ無しの方向で。
アメリカにおける人種差別の歴史を描いた本作は、それを黒人映画監督が撮影し、アカデミー賞を受賞したという意味でも映画史に残る傑作。長回しで撮影した虐待シーンは悲痛で息が詰まり、黒人霊歌の斉唱の美しさは胸に迫るものがある。アメリカ南部の奴隷の過酷さと、運命の残酷さを真正面から捉えた傑作。この画だけでも素晴らしい。
12 Years a Slave 2013 Roll Jordan Roll - YouTube
本作も実話ベースの作品。何よりも主演のマシュー・マコノヒーと、助演のジャレッド・レトの演技に惹きつけられ、圧倒される。今年はマシュー・マコノヒーのための1年だったといっても過言ではないだろう。2014年は『チョコレートドーナツ』や本作を含めて、マイノリティを焦点に当てた佳作が多かったように思える。
洒脱な色彩感覚と小気味良いテンポで進むストーリーは、まるで絵本やおとぎ話の世界を覗いているかのよう。スリリングでコミカル。だけどぞっとするようなシーンもある。ウェス・アンダーソンの世界観が脚本の妙と相まって、存分に楽しめる傑作。
ノーラン版『2001年宇宙の旅』、脚本に定評があるノーランが、映像表現においても高評価を獲得した本作。親子間の愛という普遍的事象を軸に、荒廃した世界を救うというプロットは壮大かつ緻密で工学的。
5位 ウルフ・オブ・ウォールストリート/マーティン・スコセッシ
【ドラッグ・セックス・芸術】を自身の手で塗り替えた【ドラッグ・セックス・株式投資】。貪欲で獰猛なウォール街の「狼」を演じたディカプリオの演技が見もの。とにかく下品で下品で笑える。
The Wolf of Wall Street hum - humming the money ...
6位 アクト・オブ・キリング/ジョシュア・オッペンハイマー
「恐ろしいものを見た」ということしか言えない。インドネシアで実際に起きた大量虐殺。その実行犯に虐殺を再現させる映画撮影をさせる、というドキュメンタリーである。彼らは嬉々として虐殺を再現し、演技する。彼らの狂気はリアリティそのもの。予想外の結末に更に戦慄する。
7位 劇場版テレクラキャノンボール2013/カンパニー松尾
正直なところ、これをベスト10に入れてよいものか迷った。何しろAVを劇場版に再編集したものだから。しかし、この作品のほとばしるエネルギーには、やはり胸を打たれ、生きる勇気をもらったから、載せないわけにはいかない。性についての映画といえば、ラース・フォン・トリアーの『ニンフォマニアック』も面白かった。
8位 ドストエフスキーと愛に生きる/ヴァデム・イェンドレイコ
翻訳者スヴェトラーナの反省を追ったドキュメンタリー。彼女が翻訳するのは、ロシア文学の巨匠にして世界最高の小説家ドストエフスキーのそれ。彼女の凜とした佇まいや語りかける言葉そのものの力強さに深い感動を覚える。最高のおばあちゃん映画。ドラえもんを超えた!
『ドストエフスキーと愛に生きる』[HD]映画予告編 - YouTube
9位 LIFE!/ベン・スティラー
音楽の使い方が素晴らしい。デヴィッド・ボウイもアーケード・ファイアも、ここぞという時に鳴る。想像がつくようなラストでも感動する。大上段で感動させる作りの映画で、その意味で映画の力強さを存分に発揮している。
WAKE UP ::: THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY ...
オラフかわいいよオラフ。「let it go」の邦訳はまさにプロの仕事でした。
こうして振り返ると、意外と鑑賞本数の少なさに驚く。
来年はもっと見たいなあ。